転移・再発治療について(ステージIV、再発)

「再発」は,目にみえないがん細胞のかたまりが,乳がんになった最初の時点から微小転移としてからだのどこかに潜んでいて,初期治療などもくぐり抜けて手術を受けた後に出てくることです。
手術をした側の乳房やその周囲の皮膚やリンパ節に起こるものを「局所再発」といい,骨や肺などの乳房から離れた場所に発生する場合を「転移」あるいは「遠隔転移」といいます。何らかの症状(ある特定の場所が常に痛い,咳(せき)が治まらないなど)を伴っていることもありますが,まったく無症状の場合もあります。

局所再発の場合

局所再発のみで遠隔転移のない場合は,治癒を目指して治療します。

遠隔転移の場合

遠隔転移は,乳房から離れた部分に乳がんが出てきたものですが,画像でみえている場所以外のどこかにも目にみえないがん細胞が潜んでいると考えられます。現在の治療法では,これらの全身に潜んでいるすべてのがん細胞を根絶するのは難しいのが現状です。治療は体全体に効果があることが必要であるため薬物による治療が主体となります。通常手術をすることはありません。(図9)
乳がんで使用される薬は年々多数開発されています。特に近年では分子標的薬の開発が目覚ましい進歩を遂げています。
また、当院ではステージIVや再発の患者さんを対象とした治験や臨床試験に多数参加しておりますので、主治医の先生方から必要に応じてご紹介いただくことがあります。参加にあたっては詳細な条件が設定されており、ご紹介いただいても登録が難しい場合や登録の前の検査が数週間必要なものもあります。

図9.転移・再発乳癌治療の大まかな流れ

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