腹壁・後腹膜腫瘍、副腎腫瘍

 腹部臓器のうち胃や腸などは腹膜という膜に包まれて腹腔内に存在していますが、腹膜に包まれた領域の後ろ側のスペースを後腹膜腔と呼び、腎臓、尿管、膀胱、副腎、大動脈、大静脈などが存在しています。この後腹膜腔に発生した腫瘍を後腹膜腫瘍と称します。そのうち悪性のものとしては副腎癌、傍神経節悪性腫瘍、脂肪肉腫、転移性腫瘍などがあり、外科的切除の対象となることがあります。
 当科では後腹膜腫瘍や腹壁に生じた腫瘍、および他の悪性腫瘍の腹膜播種病変に対しても手術を行っており、腹壁の再建、腸管や血管の合併切除・再建が必要な症例では整形外科、形成外科、泌尿器科、血管外科と連携して治療を行っています。


 当科では過去5年間に46例の後腹膜腫瘍の切除手術を行っております。腫瘍の内訳は、褐色細胞腫や傍神経節腫瘍が多く、副腎癌、脂肪肉腫と続きます(表1)。摘出した腫瘍の大きさの中央値は16cmで、中には33cmと巨大なものもあります。後腹膜腫瘍は同じく後腹膜に存在する臓器に浸潤することがあり、肝臓や下大静脈などの主要な動静脈を合併切除することもまれではありません(表2)。当科ではこのように巨大であったり周辺臓器に浸潤したりするような後腹膜腫瘍に対しても各科と連携を取りながら積極的に、かつ安全性を重視した手術を行っております。

(表1)


(表2)

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