移植医療

当班では1964年より腎臓移植を開始し、これまでに110例を超える腎移植を行ってきております。
また、1991年に全国3番目の施設として肝臓移植を行って以来、これまでに180例ほどの肝移植を施行しています。
2006年からは1型糖尿病・糖尿病性腎不全の方に膵・腎同時移植を行うようになり、これまでに10例の方が本手術を受けております。
現在、国内で行われている移植はほとんどが生体移植ですが、2010年7月より改正
臓器移植法が施行され、脳死移植の症例数が増加してきています。
東北大学病院は、全国でも珍しい6臓器(心臓、肺、肝臓、膵臓、小腸、腎臓)の脳死移植が可能な施設です。
当班でもドナーとして提供の意思を表明された患者様や、そのご家族の意思を尊重できるように体制を整えており、これまでに脳死肝移植を6例、脳死膵腎同時移植を10例施行しています。

肝移植

肝臓は腹部の右上にあり、大部分が下部肋骨によって守られています。成人の肝臓の重さは1.2~1.5㎏もあり、腹部臓器の中で最も重い臓器です。身体の恒常性を保つ(内部環境を一定に保ち、生命を維持する)ために、様々な物質の合成・代謝・解毒を行っており、「身体の工場」ともいわれていますが、これらの機能が損なわれる状態となっても、よほど病状が進行しないと症状が現れないため、「物言わぬ臓器」とも呼ばれています。非代償性肝硬変肝不全とは、肝臓の重要な機能が損なわれ、内科的な治療を行っても回復の見込みがない状態です。このような状態になると、肝移植の適応になります。 下記に肝臓移植の適応となる主な疾患を挙げます。

  • 肝臓移植適応疾患(成人)
    ・肝硬変症
      B型肝硬変、C型肝硬変、アルコール性肝硬変
      自己免疫性肝硬変、非B非C肝硬変
    ・胆汁うっ滞性疾患
      原発性胆汁性肝硬変(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)
      バイラー病、カロリー病、胆道閉鎖症(BA)
    ・劇症肝炎
    ・代謝性疾患
      α-1 アンチトリプシン欠乏症
      ヘモクロマトーシス、ヘモジデローシス、ウイルソン病
      糖原病、高シトルリン血症、その他
    ・肝臓腫瘍
      肝癌(原発性、転移性)、良性腫瘍
    ・その他
      バッドキアリー症候群、先天性肝線維症
  • 肝臓移植適応疾患(小児)
    ・胆汁鬱滞性疾患
      胆道閉鎖症、アラジール症候群、バイラー病
      総胆管拡張症、カロリー病、その他
    ・肝硬変症
      自己免疫性肝炎、その他
    ・代謝性疾患
      α-1 アンチトリプシン欠乏症、チロシン血症
       ウイルソン病、糖原病
      オルニチン・トランスカルバミラーゼ欠損症(OTCD)
       その他
    ・新生児肝炎
    ・劇症肝炎
    ・肝臓腫瘍
      肝芽腫、肝細胞癌、その他
    ・その他

肝移植には健康な近親者から肝臓の一部(1/5~2/3)を提供していただいて移植する生体移植と、脳死と判定されたドナー(臓器提供の意思をお持ちの方)から提供された肝臓を移植する脳死移植があります。現在国内で行われている肝移植は、ほとんどが生体肝移植ですが、改正臓器移植法の施行後は脳死移植の数が増えてきています。 当班ではこれまでに180例ほどの肝移植を行い、脳死肝移植も6例行っています。 治療成績などの肝移植の詳細については、こちらのページ(臓器移植医療部のホームページ)をご覧下さい。

腎移植

腎移植には健康な近親者か片方の腎臓を提供していただいて移植する生体腎移植と、脳死ドナーもしくは心停止ドナーから提供された腎臓を移植する献腎移植があります。当科では1965年より腎臓移植を開始し、献腎移植や再移植、膵腎同時移植を中心に腎移植を行ってきました。2018年から生体腎移植プログラムを再開し、当院での腎移植をご希望される方のご要望にお応えするための体制を整えており、2022年7月現在、生体腎移植、献腎移植(心停止、脳死)合わせて149例の腎移植を施行しております。さらに、小児患者を対象とした腎移植につきましても、体重20kg以上の小児腎不全患者を適応としております。ドナー腎摘出手術は、健常者であるドナーの方への安全性と低侵襲性を重視し、当院泌尿器科の専門医との合同手術により腹腔鏡を用いた方法で行っております。
腎移植後は基本的に生涯にわたる免疫抑制薬の服用が必要となり、拒絶反応や感染症、糖尿病や高脂血症など様々な合併症が起こり得ます。このため、長期にわたるフォローアップが必要となりますが、当施設では各専門診療科や専属の移植コーディネーターと緊密な連携をとることで、夜間・休日を含めたきめ細やかな対応ができる体制をとっております。
詳しくはこちらのページ(臓器移植医療部ホームページhttp://www.ishoku.hosp.tohoku.ac.jp/renal.html)をご覧ください。

膵・腎移植

1型糖尿病に対し、健康な膵臓を移植する事により体に必要なインスリンを回復させ、様々な糖尿病合併症の改善・進行阻止が見込まれます。 当院は、脳死膵移植施設であり、糖尿病性腎不全の方に対する膵・腎同時移植を行っております。これまで15例の膵・腎同時移植を施行しています。
詳しくはこちらのページ(臓器移植医療部ホームページhttp://www.ishoku.hosp.tohoku.ac.jp/pancreas.html)をご覧ください。

膵ラ島移植

当院では組織移植として膵ラ島移植も行っています。当施設を含めた国内外の施設の研究成果によりその短期成績は大きく向上し、2020年からは本邦においても保険診療として実施できるようになっております。詳しくはこちらのページ(膵ラ島移植ホームページ)をご覧ください。

<< 前のページに戻る

ページのトップへ戻る