東北大学病院 肝胆膵外科・胃腸外科

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診療案内

慢性膵炎

(1)慢性膵炎について

慢性膵炎とは、膵臓に慢性的な線維化と膵実質の脱落を生じて膵臓自体の機能が徐々に失われていく病気です。原因としてはほぼ50%がアルコール過剰摂取によると考えられており、その他胆石性・特発性(原因不明なもの)が挙げられます。慢性膵炎の症状は腹部・背部痛、食欲不振、体重減少、下痢、膵内分泌機能荒廃に伴う糖尿病の悪化が高頻度で見られます。

慢性膵炎は膵機能が保たれ腹痛を主体とする「代償期」、症状は軽快するものの膵機能が荒廃する「非代償期」、その途中過程である「移行期」に分けられます。慢性膵炎自体は禁酒、血糖コントロールなど適切な治療を受けていれば死に至る病気ではありませんが、健康な方と比べた場合、死亡率はほぼ1.5倍で、膵癌・胆管胆のう癌などの悪性腫瘍の合併によるものが最多で、糖尿病悪化に関連したものも多く見られます。決して油断できる病気ではありません。

(2)慢性膵炎の外科的治療

慢性膵炎は内科的治療(禁酒、症状に対する薬物療法など)が中心となりますが、外科的治療が必要になる場合があります。

①強い頑固な腹痛が継続するもの
②膵液や胆汁の通り道である総胆管・膵管に流出障害が生じたもの
③急性膵炎発作を繰り返すもの
④仮性嚢胞や膿瘍を合併するもの
⑤膵機能荒廃が進行性で防止する必要性に迫られるもの、などが適応になります。

当科では、主に当院の消化器内科を経由して内科療法のみでは対処しきれない時、外科療法の適応について紹介される患者様が多くなっています。

手術については①膵管減圧術②膵切除術が行われます。

①膵管減圧術
画像診断で、膵液の流出障害による主膵管拡張が見られる場合などが適応となります。当科で主に行っている術式としては長軸方向に膵管を切開して、尾部から頭部にかけて小腸と惻々吻合するPartington手術、膵頭部に炎症性腫瘤が見られたり膵石が存在した場合には上記に膵頭部の実質をくり抜く(=芯抜き)Frey手術が挙げられます。これらの手術は当科で定期的に行われており、特に2008年3月からは「慢性膵炎手術クリニカルパス」を作成運用して治療の標準化と手術成績向上に努めています。

②膵切除術
膵管狭窄の程度や部位によって(幽門輪温存)膵頭十二指腸切除術や膵体尾部切除術を施行することがあります。この場合、膵腫瘍に対する手術に準じますが、膵機能温存等の観点から患者様に対する侵襲が大きいので①の術式で対応できない場合が主体となります。例えば当科では、尾側膵管高度狭窄などの方には上記のFrey手術に膵尾部切除術を組み合わせるなど様々な術式の工夫を行っています。

手術によって、疼痛の軽減や膵機能進行防止などの効果が見られます。特に疼痛に関しては8割以上の方で効果があるとされています。手術適応を十分に検討した上で施行すれば、非常に有効な治療法と言えます。ただし、手術を行っても慢性膵炎を根治させることはできないため、食事栄養療法や薬物療法、禁酒といった内科的加療の継続は必須です。

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