IPMN、MCN、その他の嚢胞性膵腫瘍
1. はじめに
膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、粘液性嚢胞腫瘍(MCN)は一般に膵嚢胞性腫瘍に分類されます。いずれも聞きなれない病名ですが、膵臓領域でも比較的新しい概念です。いわゆる膵臓癌とは異なり、良性から悪性のものまで様々ですが、発見が遅れると転移・浸潤を来たし手術不能となる場合もあります。
2. 嚢胞性膵腫瘍
膵管内乳頭粘液性腫瘍(主膵管型、分枝型、混合型),漿液性嚢胞腫瘍、粘液性嚢胞腫瘍、膵仮性嚢胞
3. 当科の特徴
これら疾患は、術前診断、良・悪性の判断などが難しく、診断によって治療法が異なるため慎重な判断が求められます。現在も様々な診断法・治療法などの検討が進んでいますが、当科では10年以上も前から積極的にこれらの疾患の病態や治療法(手術・化学療法)、予後の検討などを行ってきました。さらに最近目覚しく進んでいるCT・MRI・PETなどの画像検査や、膵管鏡や膵液細胞診といった検査も消化器内科との連携で行っています。また術前に良性腫瘍と考えられるものに対しては、傷が小さく低侵襲な内視鏡的膵切除術も積極的に行っています。
膵頭部に発症した分枝型IPMN(左:MRI、右:CT)嚢胞内部は粘液で満たされていた。
対象疾患
- 胆管癌
- 胆嚢癌
- 肝内胆管癌
- 肝癌(原発性・転移性)
- 肝血管腫・MFHなど
- 十二指腸乳頭部癌
- 肝内結石症
- 胆嚢・胆管結石症
- 先天性胆道拡張症、膵胆管合流異常
- 膵臓癌
- IPMN、MCN、その他の嚢胞性膵腫瘍
- 膵神経内分泌腫瘍
(インスリノーマ、グルカゴノーマなど) - 膵動静脈奇形
- 急性膵炎
- 慢性膵炎
- 脾臓疾患(ITP、脾悪性リンパ腫など)
- 腹腔鏡下膵体尾部切除術または核出術