東北大学病院 肝胆膵外科・胃腸外科

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診療案内

先天性胆道拡張症

先天性胆道拡張症とは

先天性胆道拡張症は、肝臓から十二指腸に胆汁が流れる通り道である「胆管」が拡張する病気です。ほぼ全ての症例で胆管の十二指腸への開口部に異常が認められ(膵胆管合流異常)、本症の原因であると考えられています。

本症は新生児から老人までのあらゆる年齢層に認められますが、好発年齢は10歳以下で、日本を始めとする東洋人に多く、男女比は1:3から1:4と女性に多くみられます。膵胆管合流異常と呼ばれている膵管と胆管との異常な結合がみられる結果、本来は混じることのない膵液と胆汁とが胆管内で混じり、強力な消化液である体液が胆道内に進入して胆管に癌発生をはじめとする様々な障害を引き起こすと考えられています。主な症状は腹痛、黄疸、腹部腫瘤(3大症状)などです。先天性胆道拡張症は放置すると黄疸から肝硬変を発症したり、膵炎発作を繰り返し慢性膵炎となる可能性があります。また、胆管癌・胆嚢癌の発症が多いことが知られており、約10%に癌が合併するとの報告があります。

先天性胆道拡張症の検査

本症の診断には、拡張した総胆管と膵・胆管合流異常を確認することが必要です。腹部超音波検査、CT検査・ MRI検査などで拡張した胆管を見つけることができますが、本症と確定するには内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)が必要です。これは特殊な胃カメラを十二指腸まで挿入し、総胆管と膵管の十二指腸への開口部(ファーター乳頭)より細い管を入れて造影する検査です。血液検査所見では総ビリルビン、直接ビリルビン、GOT(AST)、GPT(ALT)、アルカリフォスファターゼなどの肝酵素が上昇する例もみられますが、その多くは一時的です。また、腹痛発作のあるときには膵炎を併発し、血清アミラーゼ値上昇を認める場合もあります。

先天性胆道拡張症の治療

年齢を経るにつれて胆道癌の合併症が増加するため、本症と診断された場合、手術が必要です。肝外拡張胆管の切除と、肝管消化管吻合による胆汁と膵液との分流手術が行われます。胆道癌の発生母地である拡張胆管を切除することと、胆汁と膵液が混じらないようにすることが手術の目的となります。

先天性胆道拡張症の術後経過

先天性胆道拡張症の術後には、胆管炎・胆石(肝内結石)・胆道癌(遺残胆管癌)などが発生することがあります。肝内結石は胆管炎を繰り返し発症する中で起こるとされています。胆管炎や肝内結石の発生は、術前に胆管の拡張が肝内胆管にも認められる症例で高頻度に発生します。また癌の発症は術後長期間を経て発症するものもあることから、長期的に外来でフォローすることが必要です。

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