胆道領域における内視鏡外科手術

外科的治療が必要な胆道領域の疾患としては、胆道癌、総胆管結石症、先天性胆道拡張症、がありますが、胆道癌を腹腔鏡下手術で行うことは保険上認められておらず、通常開腹手術にて行います。そのため、先天性胆道拡張症と総胆管結石症とが腹腔鏡下手術の対象となります。

先天性胆道拡張症に対する内視鏡治療

先天性胆道拡張症は、膵・胆管合流異常をいう先天異常により胆管が拡張してしまう稀な疾患です(先天性胆道拡張症)。本疾患は拡張した胆管から癌が発生する可能性があるため、拡張した胆管を切除する肝外胆管切除術を行う必要があります。

先天性胆道拡張症は若年の女性に見つかることが多く、傷の小さな腹腔鏡下手術はメリットが大きいと考え、我々の施設では2011年に先天性胆道拡張症に対する腹腔鏡下肝外胆管切除術を導入しています。また、2012年には、日本で最初のロボット支援腹腔鏡下肝外胆管切除術を行っております(ロボット手術は保険の関係で現在は行っていません)。

これまで腹腔鏡下手術およびロボット手術を合わせて18名の方に本手術を行っていますが、手術時間中央値446分と開腹手術とほぼ同等であり、出血量中央値22.5 mL、在院日数中央値10日と開腹術を上回る成績となっております。膵臓内の胆管剥離と胆管と空腸との吻合を腹腔鏡下で行うには高度な技術が必要となりますので、治療を腹腔鏡下手術で行えるかどうかに関しては専門医が判断することとなります。当科は日本で腹腔鏡下肝外胆管切除術を完遂できる数少ない施設のうちの一つであり、出来る限り患者さんのご要望にお応えしたいと考えています。

総胆管結石症に対する内視鏡治療

総胆管結石症は、総胆管に胆石が出来る疾患で、そのままにしておくと胆汁の流れが滞り(胆汁うっ滞)、黄疸や胆管炎を起こします(総胆管結石症)。胆管炎は命に係わる病態になりますので、早急に処置を行う必要があります。

近年、総胆管結石に対する治療は内科的に内視鏡カメラにて採石する方法が主流となりました。一方で腹腔鏡下総胆管切石術は、一緒に胆嚢結石に対する治療を行うことができ、十二指腸乳頭の機能も温存できるといった利点があります。腹腔鏡下手術という小さい傷で治療できるという利点も合わせて、内視鏡カメラを用いた治療に見劣りのする治療法ではありません。当院では、どの治療法にするか、患者さんの状態に合わせて行っています。

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