胆道に癌があるといわれた方へ

胆道癌

疾患の特徴

・黄疸で発見されることが多いが、それまでは無症状のことがあります
・切除可能なときは根治切除が、切除不能と判断された場合は化学療法が検討されます
・肝臓や膵臓の切除が必要となる負担の大きな手術が必要な事が多くあります
・有効な化学療法の種類が他の癌に比べて少ないのが現状です

私たちの特徴

・日本有数の胆道癌の治療経験を有しています。
・複数の肝胆膵外科高度技能専門医
日本胆道学会認定指導医が在席しており、専門性の高い適切な診断・治療を施行できます。
・手術治療だけでなく、診断・化学療法・放射線治療等も積極的に参加・施行しています。

体が尿が黄色くなる”黄疸”をはじめ、肝機能に異常を来して発見される悪性疾患の一つに”胆道癌”があります。“胆道”は肝臓で作られた胆汁を十二指腸まで運ぶ臓器の総称です。この胆道にできる悪性腫瘍が”胆道癌”になります。 胆道癌も胃癌や大腸癌などと同様に表面の粘膜上皮から発生する腺癌(adenocarcinoma)です。がん患者さん全体の2~3%と比較的まれな疾患で、欧米ではもっと頻度が少ないと言われています。病気になる方は少ないのですが、手術の負担が大きくて受けれない方もいる、化学療法の種類が限られている、リンパ節転移などがあると完全に切除できても再発が多いなど、完全に治療すること(根治)が難しい病気でもあります。 主な症状は黄疸・腹痛・発熱・倦怠感などですが、これらは主として腫瘍が大きくなり胆汁の流れが妨げられた結果としておこってきます。

胆道癌は部位によってさらに肝門部領域胆管癌・胆嚢癌・遠位胆管癌・十二指腸乳頭癌の4つにわけられます(図)。いずれの部位の癌においても標準治療は切除可能と診断されれば根治切除の施行(表)、切除不能と判断された場合は化学療法となります。胆道癌は手術で切除できると判断するかできないと判断するかで、治療方針や余命が大きく違ってしまうのです。また、癌が取れると判断して全身麻酔下にお腹を開いても、手術前の検査でわからないような病気の進行によって切除ができない事もあります。

胆道癌(部位) 主な根治術式
肝門部領域胆管癌 肝(右・左)葉切除 + 尾状葉切除 + 肝外胆管切除
肝(右・左)三区切除
胆嚢癌 胆嚢床切除(+肝外胆管切除)
S4aS5切除 +肝外胆管切除
肝右葉切除 + 尾状葉切除 + 肝外胆管切除
肝右三区切除
遠位胆管癌 (亜全胃温存)膵頭十二指腸切除
十二指腸乳頭部癌 (亜全胃温存)膵頭十二指腸切除

胆道癌は進行するまで痛みや体重減少などの体感できる症状に乏しく、黄疸などで診断された場合にはすでに進行していることが多い病気です。また、一旦黄疸が生じると、検査や治療には黄疸の改善を待つことが必要です。治療の選択には十分な検査が必要です。CT・MRI・PET・内視鏡・組織生検・肝機能検査・耐術能検討(呼吸・心機能等)など様々な検査をうけていただく必要があります。受診から手術まで2ヶ月以上を必要とすることも考えられる病気であることをお伝えしなくてはいけません。

一般に胆道癌はお腹の中で切除される臓器の範囲や手術時間・出血量が多く、手術後におこる合併症や死亡の危険が高いとされています。また、胆道癌の治療経験の豊富な施設とそうでない施設では病勢の診断・適切な手術の選択・手術後の合併症の回避や解決に差があるといわれています。私たちは胆道癌の手術前検査・手術治療・化学療法・緩和加療を長年にわたり積み重ね、国内でも有数の胆道癌の治療経験を有しています。安定した手術治療のみを目指すだけではなく、手術前に化学放射線治療を行う独自の治療の開発や、全国規模の化学療法や免疫療法の臨床研究や治験にも積極的に参加しています。胆道癌の専門家が集う日本胆道学会の理事長を現在当科の海野科長が務めており、日本をあげての胆道癌の治療の改善・革新に役立てるよう、科をあげて取り組んでいます。胆道癌の国内外の先進的治療に精通したうえで、現在私たちが提供できる最善の治療を提案する事が可能です。胆道癌の疑いがあると言われ心配をお持ちの方は、是非当科を受診ください。

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