肝臓手術術式

肝切除術

肝臓は示された解剖図のように、肝臓内の血管や胆管の走行により、領域が定められれいます。肝臓を切除する場合、肝臓のどの部位に腫瘍があるか、どの領域を切除するかによって、切除する範囲や切除のやり方が変わります。

 
肝部分切除

比較的小さな病変や、太い脈管にかからない病変に対して、腫瘍を繰り抜くように小さな領域で切除します。

 
肝亜区域切除・区域切除

部分切除では切除できない大きな腫瘍や、領域で切除が必要な場合、亜区域切除や区域切除が選択されます。

 
肝葉切除(左葉切除・右葉切除)、肝3区域切除(左3区域切除・右3区域切除)

区域を超える大きさの腫瘍や、太い脈管に癌の浸潤を認めるような腫瘍に対しては、左右どちらかからの肝葉切除や肝3区域切除が選択されます。
肝門部領域の胆管から発生する肝門部領域胆管癌に対しては、尾状葉切除を伴う肝葉切除または3区域切除+肝外胆管切除+胆道再建術が必要となります。

切除後の再建について

肝外胆管切除を伴う肝切除では、消化管再建は必要としません。一方、肝門部領域胆管癌に対する肝外胆管切除を伴う肝切除では再建が必要になります。再建には小腸の一部を使用し,①小腸と胆管②小腸と小腸を吻合いたします.食べ物の道筋と,胆汁がうまく混ざり合うような形を作ることができます。

 
手術後の合併症について

胆汁瘻 肝臓を切った断面から消化液である胆汁が漏れることを言います。通常は手術後にドレーンという管を腹腔内に留置し、体外に排出され、次第に改善するため、大事には至りませんが、この合併症により入院期間が延長する可能性があります。

 
肝不全

切除後に残った肝臓が十分に機能を果たさなくなる病態です。残る肝臓が非常に小さな場合や、肝機能が著しく不良の場合に起こり生命に関わる非常に重篤な合併症です。術前の肝機能の評価や残肝の容量を測定し、この合併症が起こらないように十分注意して手術を行っております。

 
術後出血

手術で操作した部位から出血する場合と、時間を経た後(数日から数週間)に胆汁漏や膵液瘻が原因で動脈から出血する場合があります。出血に対しては、再手術や血管造影でカテーテルにより止血を行います。動脈性の出血に対して止血術を行うと、肝臓への血流が無くなってしまい、肝不全が起こり非常に重篤になることがあります。

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