癌に似たような腫瘍があるといわれた方へ

膵内分泌腫瘍(p-NEN)について

P-NENとは

膵臓にできる腫瘍の代表は膵臓癌ですが、それ以外にも様々な腫瘍が発生します。その中の一つ、膵神経内分泌腫瘍(Pancreatic Neuroendocrine Neoplasm : P-NEN)は、ホルモンを産生する細胞から発生する腫瘍です。産生されるホルモンによって、インスリノーマやガストリノーマなどと呼ばれることもあります。形は同じですが、ホルモンを産生しないタイプのP-NEN(非機能性神経内分泌腫瘍)もあります。ゆっくりと大きくなるものもあれば、転移をするような悪性の経過をたどるものもあり、しっかりとした診断が必要になります。 (当院のP-NEN治療数の年次推移のグラフを挿入)

WHO分類

P-NENは腫瘍の顔つきによって分類されます。
この分類によって治療方針を決定していきます。

症状

膵臓から分泌される様々なホルモンを過剰に分泌させてしまうこともある病気で、それにより特徴的な症状が出てくることもあります。
インスリノーマ:低血糖症状による発汗、震え。意識障害やけいれんを起こすこともあります。 ガストリノーマ:治りにくい胃潰瘍や逆流性食道炎、下痢など。
一方、ホルモンを産生しないものでは症状が出にくいため、たまたま検査で見つかることもあります。

検査

CT検査やMRI検査、超音波内視鏡検査などが行われます。  
ソマトスタチン受容体シンチ(Somatostatin Receptor Scintigraphy : SRS) : NEN診断に特化した検査です。

手術

非常に小さな腫瘍の場合は厳重な経過観察を行うこともありますが、治療の基本は手術療法になります。
腫瘍が発生した場所によって、膵頭十二指腸切除術や膵体尾部切除術、膵部分切除術などを行います(膵手術術式)。

その他の治療

癌とは異なり、通常の抗がん剤が効きにくい腫瘍です。P-NENに対して効果のある薬を組み合わせて治療を行います。
最近では放射線治療(核医学治療;Peptide Receptor Radionuclide Therapy : PRRT)も保険収載され治療の幅が広がりつつありますあります。

遺伝?

遺伝のものとそうでないものとがあります。遺伝疾患である多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)やvon Hippel-Lindau病(VHL)に合併することが知られています。遺伝性のP-NENは治療法も異なってきます。
確定診断には遺伝子検査が必要になります。

最後に

非常に稀な病気であり、診断がなかなかつかないこともあります。
当院では消化器内科、腫瘍内科とともに診断 から手術・薬物治療まで行なっています。まずはこの病気を疑うことから始まりますので、是非ご相談ください。

充実性偽乳頭腫瘍(SPN)

20~30代の比較的若年女性に好発。特異的な症状などはなく、検診などで偶然発見されることが多い。10%程度に悪性例が見られるとの報告もあり、手術を勧める。

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