膵疾患領域の内視鏡外科手術
腹腔鏡・ロボットによる膵臓手術について
1.腹腔鏡手術、ロボット手術とは
腹腔鏡手術とは、お腹に5mm-15mmの小さなキズ(創)=穴をあけ、内視鏡(カメラ)を腹腔(お腹の中)に入れて、モニターに映る画面を見ながら行う手術方法です。
腹腔鏡による胆嚢手術(腹腔鏡下胆嚢摘出術)は、既に日本全国で広く行われている手術となっており、食道、胃、大腸、肝臓の腹腔鏡手術も普及しつつあります。
腹腔鏡下手術の利点は、手術の傷跡(瘢痕)が小さいこと、そしてそれに伴う術後疼痛の軽減、手術のダメージが少ないことによる早期の回復などです。特に働き盛りの方や若い女性の場合には、腹腔鏡下手術の利点がより大きくなると考えられています。
ロボット手術は、腹腔鏡手術と同様に、小さなキズをあけて、手術器械をお腹に入れた後で、その器械をロボットアームに接続します。手術の執刀医はロボットアームを操作して、手術を行います。腹腔鏡手術と比較して、ロボット手術には、①繊細な操作をするときの手ブレを抑えることができる、②ロボットの関節を動かすことで、より自由に操作することができる、というメリットがあります。
2.膵臓疾患に対する腹腔鏡手術、ロボット手術
膵臓疾患に対する腹腔鏡手術は、2012年から一般保険診療でも認められる手術術式になりました。現在(2020年3月)の段階では、膵頭十二指腸切除術は、低悪性度腫瘍までが適応となっており、膵癌は対象外です。
膵臓手術は手術症例数が多くないこともあり、技術に習熟した施設は全国でも未だ少ないのが現状です。当科では2021年4月よりロボット手術も導入しておりますので、ご希望の方はご相談いただけますようお願いいたします。
3.当科の取り組み
当科は、膵癌手術の多い施設であり、全国に先駆けて、腹腔鏡膵臓手術の導入を行ってきました。2020年6月の段階で、日本内視鏡外科学会技術認定医(膵臓)が、東北地方で4名のうち、3人が当科に所属しています。また、腹腔鏡による胆道手術、脾臓手術も積極的に行っています。
ロボットによる膵臓手術も導入以後は、対象となる方に対して積極的に行っております。
他院で膵腫瘍に対する手術の必要性を診断された方は、腹腔鏡やロボット手術を含めた術式適応などのご相談ができます。