胆嚢に炎症があるといわれた方へ

胆嚢炎

胆嚢炎とは

急性胆嚢炎:胆嚢に生じた急性の炎症性疾患です。原因の約90%は胆嚢結石であり、胆嚢頚部あるいは胆嚢管に結石がはまり込んで胆嚢管閉塞と胆嚢内胆汁うっ滞を起こし、引き続き胆嚢粘膜の障害が起こります。急性胆嚢炎の約10%は結石を伴わない無石胆嚢炎であり、手術後やケガ、熱傷、感染症や長期間の集中治療室管理、経静脈栄養中の方に発症しやすいとされています。

慢性胆嚢炎:胆嚢炎の緩やかな発作の繰り返しで起こり、長期間の持続的炎症にともなって胆嚢粘膜の萎縮や胆嚢壁の線維化が起こります。一般に胆嚢結石を有します。また、急性増悪により急性胆嚢炎症状を呈することもあります。





症状はどのようなものがあるか

急性胆嚢炎で最も多い症状は右季肋部痛です。悪寒、発熱、悪心、嘔吐も頻度の高い症状です。「胆嚢のある右季肋部を押すと痛みのため呼吸を完全に行えない状態」は急性胆嚢炎に特徴的で、これをマーフィー徴候と言います。胆嚢壁が壊死して胆嚢に穴があくと胆汁が腹腔内に漏れ、腹膜炎症状を起こします。慢性胆嚢炎では、右季肋部の不快感や微熱などの症状を訴えることもありますが、無症状に経過する場合もあります。
急性胆嚢炎に対して胆嚢摘出術を行わなかった場合の再発率は約20~40%とされています。

治療法はどのようなものがあるか

治療の原則は胆嚢摘出術です。胆嚢摘出術には、腹腔鏡下胆嚢摘出術と開腹胆嚢摘出術があり、多くの場合はキズの小さな腹腔鏡下胆嚢摘出術を行います。胆嚢の炎症や線維化のため腹腔鏡手術が困難な場合には開腹手術となることがあります。
急性胆嚢炎に対して手術適応やタイミングを決定する前にまずは絶食、輸液、抗菌薬や鎮痛薬の投与などの初期治療を行います。重症度、手術リスク、予想される手術難易度を考慮して、早期手術を行うこともあれば、待機手術を行う方針とすることもあります。手術リスクが高い場合は、重症度に応じて胆嚢ドレナージを行うこともあります。
当施設の特徴として、様々な併存疾患を持った症例の治療経験が豊富であることが挙げられます。また、腹腔鏡手術や肝胆膵外科手術のエキスパートがチームで診療を行っています。

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