胆嚢に石があるといわれた方へ

胆嚢結石症

胆嚢結石症とはどのような疾患か

胆嚢結石とは胆嚢のなかに石ができる病気です。日本人の胆石保有率は7~8%といわれています。石の種類はコレステロール結石やビリルビンカルシウム結石、黒色石などの色素胆石があります。結石の成因として胆嚢収縮能の低下、細菌感染、溶血性疾患の合併などが挙げられます。中年女性、肥満、白人に多い傾向があり部超音波検査、腹部X線検査、CT検査、MRI検査などの画像検査により診断されます。

症状はどのようなものがあるか

胆石症の症状は心窩部・右季肋部痛や脂肪に富んだ食事後の腹痛です。胆石疝痛発作は激烈な上腹部痛が発作的に生じ、しばしば右肩や背中に放散することもあります。そのほか発熱、黄疸、悪心・嘔吐などの症状を認めることもありますが無症状であることも少なくありません。また胆石症を放置した場合、胆嚢炎を発症することもあります。胆嚢結石による胆嚢癌の発生については、どの程度の関連があるのか完全に解明されたわけではありませんが、胆石症の無い方に比べて胆石症患者さんは、胆嚢癌発生率が高いと報告されています。

 
治療法はどのようなものがあるか
1.手術療法

一般的に胆嚢結石症の手術は痛みなどの症状を有する方に対して行われます。胆石だけを摘出すると胆石が高率に再発するため、手術は胆嚢を切除する胆嚢摘出術が行われます。現在、多くの胆石症では腹腔鏡下胆嚢摘出術というお腹に1cmほどの穴を3~4カ所あけ、カメラと鉗子を用いた方法で行われております。一方、胆嚢炎を合併したり、胆石発作を繰り返して慢性の炎症が強い場合は腹部を大きく切開して胆嚢を摘出する開腹摘出術が行われる事もあります。胆嚢は切除しても、ほとんどの方は食事制限の必要もなく、日常生活も術前と変わりなく過ごすことが出来ます。頻度は少ないですが摘出した胆嚢に癌が見つかり追加手術を必要する場合があります。

 2.経口胆石溶解療法(ウルソデオキシコール酸)

ウルソデオキシコール酸による治療は有症状患者でも胆石発作による痛みや急性胆嚢炎発生のリスクを低下させたとの報告もあり、手術をしない有症状の患者さんでコレステロール系胆石に使用されることもあります。

 3.体外衝撃波結石破砕術(ESWL)  

胆嚢結石を外科手術をせずに体の外より衝撃波をあて、体に傷をつけることなく結石を粉々に砕き、体の外に流しだす治療法です。胆嚢機能が正常で石灰化のないコレステロール結石が適応となります。しばしばウルソデオキシコール酸と併用で使用されることもあります。10年間の再発率は54~60%と推定されています。

現在では2,3のような保存的加療が行われることはほとんどなく,多くの場合では手術加療が推奨されております。

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