胆嚢に腫瘍のようなものがあるといわれた方へ

胆嚢腫瘍は常に胆嚢癌を考慮しなければなりませんが,それ以外にも以下に挙げるような疾患が鑑別にあがります

胆嚢ポリープ

胆嚢ポリープとは?

胆嚢ポリープは、胆嚢の内側にできる隆起性変化の総称です。健康診断や人間ドックの際に腹部超音波検査で偶然にみつかることが多いです。 形態からは、キノコのように茎を持つ有茎性ポリープと茎がはっきりしない亜有茎性ポリープ、茎を持たず扁平に盛り上がる広基性ポリープなどがあり、亜有茎性ポリープ・広基性ポリープの中にがんが含まれていることがあリます。


胆嚢ポリープの診断と治療

腹部エコー検査やCT、MRI検査などを用いてその診断を行います。
1:胆石症や胆嚢炎を合併し、痛みや発熱などの症状がある場合には、腹腔鏡下胆嚢摘出術の適応になります。
2:胆嚢ポリープは基本的には良性ですが、一部に異型細胞を伴い癌化する可能性もあります。大きさが10 mm以内の場合は特に治療の必要はありません。しかしながら、後になって大きくなることもあり、最大径10 mm以上のものは癌を疑って胆嚢摘出術を行い、術中検索あるいは術後病理診断で癌かどうかを診断しております。

胆嚢腺筋腫症

胆嚢腺筋症とは?

胆嚢腺筋腫症とは、何らかの要因によって胆嚢に憩室(袋状のもの)が増殖し、胆嚢の壁が厚くなる病気です。このとき増殖する袋状のものを、RAS(ロキタンスキー・アショフ洞)と呼びます。RASは、胆のうの粘膜と筋層(粘膜の下層にある筋肉層)の過形成により起こりますが、なぜRASが発生するかはわかっておりません。RASによって慢性胆嚢炎や胆石症を引き起こすこともあります。




胆嚢腺筋症の診断と治療

腹部エコー検査やMRI、CT検査等でRASなどの特徴的な所見がある場合は確定診断となります。
1:胆石症や胆嚢炎を合併し、痛みや発熱などの症状がある場合には、腹腔鏡下胆嚢摘出術の適応になります。
2:術前検査で胆嚢腺筋腫症と確定診断が得られず、癌と区別できない場合には手術を行います。以前は、胆嚢腺筋腫症は癌にはならないといわれていましたが、近年は、胆嚢癌と同時に発生することも指摘されております。胆嚢腺筋腫症は、悪性腫瘍との識別が難しいことが稀にあります。

黄色肉芽腫性胆嚢炎

黄色肉芽腫性胆嚢炎 とは?

60-70歳代の女性に多く、慢性胆嚢炎の稀な亜型です。急性胆嚢炎の症状で発症し、症状が数年間にわたりくすぶり続けることもあります。原因は、胆嚢内圧が上昇し、 RAS(ロキタンスキー・アショフ洞)が胆嚢壁内で破裂して、胆汁が壁内に露出して炎症が起こることにより生じます。

黄色肉芽腫性胆嚢炎の診断と治療

腹部エコーやCT、MRI検査を行いますが、画像所見はびまん性や局在性の壁肥厚など、様々な形態をとり、癌との鑑別が非常に難しいです。隣接する肝臓や十二指腸にも炎症が波及することもあり、胆嚢癌で上昇することが多い腫瘍マーカー(CA19-9など)が上昇することもあります。癌との鑑別が困難な場合は、胆嚢摘出術を行い、術中検索あるいは術後病理診断で癌かどうかを診断します。

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