食道癌について
食道(しょくどう)は「のど」と「胃」の間をつなぐ管状の臓器で、食べたものをのどから胃まで運ぶはたらきをしてきます。食道は消化管の一部ですが、胃や腸などと異なり消化・吸収などの働きはありません。食道の主な働きは飲み込んだ食べ物を胃まで運ぶことです。食道の病気で「食べ物のつかえ感」が最も多いのもそのためです。
食道癌は食道に発生する悪性腫瘍のことです。症状は早期には食道の違和感やしみる感じ等を伴うことがありますが、自覚しない事も多くあります。進行してくると癌が大きくなるので「つかえ感」が出てきます。その他に「胸痛」、「咳」、食事摂取量低下に伴う「体重減少」なども見られるようになります。食道癌はリンパ節転移も起こしやすい病気で、声帯を動かす神経周囲のリンパ節に転移を来すと声がかすれる(嗄声といいます)症状が出ることがあります。食道癌は検診で行われるバリウム透視や内視鏡検査(胃カメラ)で診断される場合が多いですが、この検査だけでは食道癌の治療を行うには十分ではありません。食道癌に対しては手術の他に内視鏡治療、抗がん剤、放射線治療などがあり、病期にあわせてこれらの治療を単独もしくは組み合わせて行います。したがって最適な治療方法を決定するために食道癌の進行度(癌の広がりや深さ、リンパ節転移・他の臓器への転移の有無など)を正しく決めることがとても大切です。