大腸疾患
担当:内藤、大沼、阿部、唐澤
私たちは、大腸癌に対し、安全で合併症の少ない手術を心がけ日々診療しております。特に力を入れている領域は以下の通りです。
1.腹腔鏡下手術
大腸癌の初発腫瘍に対しては、積極的に腹腔鏡手術を行っており、2013年度上半期では腹腔鏡手術が全大腸癌手術の86%を占めるまでとなっています。我々の成績では進行癌であっても長期予後は非常に優れております。術後の入院日数も平均9日となっており早期の退院、社会生活への復帰が可能です。
2.直腸癌の機能温存手術
大腸癌の中でも特に治療が難しい直腸癌の治療に力を入れております。特に根治性を保ちながら機能温存(性機能、排尿機能)を目指した骨盤自律神経温存術や、可能な限り肛門を温存するべく、肛門管内の腫瘍でも深達度がMP以浅でdistal marginが確保できれば積極的に腹腔鏡下内肛門括約筋切除術(ISR)により肛門機能を温存しております。
3.進行・再発腫瘍に対する拡大手術
進行・再発腫瘍に対しても、術前放射線化学療法を併用しながら、骨盤内蔵全摘術など泌尿器科等と連携しながら積極的に拡大手術を行っています。直腸癌局所再発でも遺残のない治癒切除ができれば長期生存も期待できます(3年生存率: 52%)。また、腫瘍内科との合同カンファレンスを定期的に開催し、進行・再発症例に対し、最新のエビデンスに基づいて治療方針を決定しています。
4.その他の大腸疾患
当科では、大腸癌以外にも、GIST、神経内分泌腫瘍(カルチノイド)、悪性黒色腫、肛門Paget病など下部消化管に発生する稀腫瘍も積極的に診療しております。
ULAR(超低位前方切除術)、
I SR(内肛門括約筋切除術)の切離ライン
(三浦康、佐々木巖;消化器癌の外科治療1
消化管(中外医学社)肛門機能温存術 p238-241より改変)
右結腸切除術シェーマ