肝胆膵領域における内視鏡治療をご希望の方へ
肝疾患領域の内視鏡外科手術
転移性肝癌および肝細胞癌の症例に対し腹腔鏡下肝切除術を行っております。腹腔鏡下手術は小さな傷で手術ができ、術後在院日数も一週間以内のことが多い手術です。しかし転移個数および転移部位、腫瘍の大きさにより開腹手術が選択される場合もあり、手術方法に関しては、カンファレンスにて決定しています。ご希望のある方は、一度外来でご相談ください。

腹腔鏡で除いた肝転移病巣
膵疾患領域の内視鏡外科手術
腹腔鏡・ロボットによる膵臓手術について
1.腹腔鏡手術、ロボット手術とは
腹腔鏡手術とは、お腹に5mm-15mmの小さなキズ(創)=穴をあけ、内視鏡(カメラ)を腹腔(お腹の中)に入れて、モニターに映る画面を見ながら行う手術方法です。腹腔鏡による胆嚢手術(腹腔鏡下胆嚢摘出術)は、既に日本全国で広く行われている手術となっており、食道、胃、大腸、肝臓の腹腔鏡手術も普及しつつあります。
腹腔鏡下手術の利点は、手術の傷跡(瘢痕)が小さいこと、そしてそれに伴う術後疼痛の軽減、手術のダメージが少ないことによる早期の回復などです。特に働き盛りの方や若い女性の場合には、腹腔鏡下手術の利点がより大きくなると考えられています。
ロボット手術は、腹腔鏡手術と同様に、小さなキズをあけて、手術器械をお腹に入れた後で、その器械をロボットアームに接続します。手術の執刀医はロボットアームを操作して、手術を行います。
腹腔鏡手術と比較して、ロボット手術には、①繊細な操作をするときの手ブレを抑えることができる、②ロボットの関節を動かすことで、より自由に操作することができる、というメリットがあります。
2.膵臓疾患に対する腹腔鏡手術、ロボット手術
膵臓疾患に対する腹腔鏡手術は、2012年から一般保険診療でも認められる手術術式になりました。現在(2020年3月)の段階では、膵頭十二指腸切除術は、低悪性度腫瘍までが適応となっており、膵癌は対象外です。
膵臓手術は手術症例数が多くないこともあり、技術に習熟した施設は全国でも未だ少ないのが現状です。当科では2021年4月よりロボット手術も導入しておりますので、ご希望の方はご相談いただけますようお願いいたします。
3.当科の取り組み
当科は、膵癌手術の多い施設であり、全国に先駆けて、腹腔鏡膵臓手術の導入を行ってきました。2020年6月の段階で、日本内視鏡外科学会技術認定医(膵臓)が、東北地方で4名のうち、3人が当科に所属しています。また、腹腔鏡による胆道手術、脾臓手術も積極的に行っています。
ロボットによる膵臓手術も導入以後は、対象となる方に対して積極的に行っております。
他院で膵腫瘍に対する手術の必要性を診断された方は、腹腔鏡やロボット手術を含めた術式適応などのご相談ができます。
胆道領域における内視鏡外科手術
外科的治療が必要な胆道領域の疾患としては、胆道癌、総胆管結石症、先天性胆道拡張症、がありますが、胆道癌を腹腔鏡下手術で行うことは保険上認められておらず、通常開腹手術にて行います。そのため、先天性胆道拡張症と総胆管結石症とが腹腔鏡下手術の対象となります。
先天性胆道拡張症に対する内視鏡治療
先天性胆道拡張症は、膵・胆管合流異常をいう先天異常により胆管が拡張してしまう稀な疾患です(先天性胆道拡張症 )。本疾患は拡張した胆管から癌が発生する可能性があるため、拡張した胆管を切除する肝外胆管切除術を行う必要があります。先天性胆道拡張症は若年の女性に見つかることが多く、傷の小さな腹腔鏡下手術はメリットが大きいと考え、我々の施設では2011年に先天性胆道拡張症に対する腹腔鏡下肝外胆管切除術を導入しています。
また、2012年には、日本で最初のロボット支援腹腔鏡下肝外胆管切除術を行っております(ロボット手術は保険の関係で現在は行っていません)。
これまで腹腔鏡下手術およびロボット手術を合わせて18名の方に本手術を行っていますが、手術時間中央値446分と開腹手術とほぼ同等であり、出血量中央値22.5 mL、在院日数中央値10日と開腹術を上回る成績となっております。
膵臓内の胆管剥離と胆管と空腸との吻合を腹腔鏡下で行うには高度な技術が必要となりますので、治療を腹腔鏡下手術で行えるかどうかに関しては専門医が判断することとなります。
当科は日本で腹腔鏡下肝外胆管切除術を完遂できる数少ない施設のうちの一つであり、出来る限り患者さんのご要望にお応えしたいと考えています。
総胆管結石症に対する内視鏡治療
総胆管結石症は、総胆管に胆石が出来る疾患で、そのままにしておくと胆汁の流れが滞り(胆汁うっ滞)、黄疸や胆管炎を起こします(総胆管結石症 )。胆管炎は命に係わる病態になりますので、早急に処置を行う必要があります。
近年、総胆管結石に対する治療は内科的に内視鏡カメラにて採石する方法が主流となりました。
一方で腹腔鏡下総胆管切石術は、一緒に胆嚢結石に対する治療を行うことができ、十二指腸乳頭の機能も温存できるといった利点があります。腹腔鏡下手術という小さい傷で治療できるという利点も合わせて、内視鏡カメラを用いた治療に見劣りのする治療法ではありません。
当院では、どの治療法にするか、患者さんの状態に合わせて行っています。
胆嚢疾患に対する内視鏡外科手術
腹腔鏡下胆嚢摘出術について
- 1990年に日本で初めて導入され、腹腔鏡手術が広まるきっかけとなった手術であり、現在も日本で最も多く行われている腹腔鏡手術です。
- おなかに1-2cmの穴を4カ所開けて、おなかの中に二酸化炭素ガスを注入し、おなかを膨らませて、腹腔鏡で観察しながら胆嚢を摘出します。
- 身体への負担が少なく、手術後は2~3日で退院が可能です。
- 東北大学病院に通院中の方で、胆嚢疾患に罹患した方を中心に手術を行っていますが、様々な併存症を有しており、他院では手術が難しいような方にも対応しております。
対象疾患
- 胆嚢結石症
- 胆嚢ポリープ
- 胆嚢腺筋症
- 胆嚢癌疑い症例
胆嚢癌に対する腹腔鏡手術は保険適応になっておらず、原則開腹手術が行われます。
しかし胆嚢癌は術前診断が難しく、正診率は5割程度と報告されています。つまり胆嚢癌が疑われて手術を行っても、多くの方は癌ではない疾患です。
当科では、胆嚢癌の可能性はあるが、良性疾患の方が疑われるような方には、身体への負担を減らせるように腹腔鏡手術を選択する場合があります。

腹腔鏡下胆嚢摘出術の傷部