血管外科

血管外科は腹部(腹部大動脈、腹部内臓動脈、下大静脈など)や四肢の血管の疾患を専門に診療しています。
   

受診を希望される方へ

血管外科の外来日は 月曜日・火曜日となっております。

血管外科外来を新規に受診される方

大学病院へ受診を希望される方は紹介状が必要です。かかりつけ医や近所の医院を受診し、地域医療連携センターを通じてご紹介いただくようお願いいたします。
紹介元の医療機関から地域連携室にFAXをいただくことで30分程度お時間をいただきますが、診療予約票を返送いたします。
指定された受診日に外科へお越しください。
 

血管外科外来に通院されている方

次回受診日よりも前に診察を希望される方は、予約票に記載されている外来の電話番号へ直接ご連絡下さい。
緊急性が高い場合は、同日受診を考慮いたします。
 
血管外科外来は外科診療棟Cにあります。
マップ
外来を受診される方へ
(大学病院ホームぺージへ移動します)


 

医療機関の方々へ

通常の患者様紹介について新患、再来ともに、外来日は月曜日と火曜日です。

当院の地域医療連携センターを通じてご紹介ください。
詳細は下記ホームページをご参照ください。
東北大学病院診療予約のページ
 
東北大学病院 地域医療連携センター
Tel:022-717-7131(直通) Fax:022-717-7132
緊急を要する際には随時ご連絡ください。
医局:022-717-7214
(総合外科・移植再建内視鏡外科)にご連絡いただき、血管外科担当医とご相談ください。)
その他の連絡先:総合外科(移植再建内視鏡外科)
Tel:022-717-7742(月-金:8時30分-17時15分)
高度救命救急センター(血管疾患については血管グループと連携しています)
Tel:022-717-7499
 

緊急を要する代表的な疾患は以下のとおりです。

  • 腹部大動脈瘤破裂(疑い)
  • 急性動脈閉塞(上肢・下肢・腹部臓器)
  • 重症虚血肢(安静時痛、壊死など)
  • 腹部内臓動脈解離など


 

腹部大動脈瘤

おなかに拍動するコブがありませんか? 破裂すると危険です

1.腹部大動脈瘤とは

大動脈は、心臓から直接つながっている最も太い動脈です。
そこから血管の枝を出して各臓器に血液を供給しています。腹部大動脈は、胸部と腹部と境界である横隔膜下より下の大動脈を指します。
腹部大動脈は通常2cmくらいの血管ですが、何らかの原因で拡大して3cm以上になると腹部大動脈瘤といいます。
腹部大動脈瘤
 

2.原因

大動脈瘤の原因の多くは、動脈硬化により動脈の壁が弱くなるためといわれています。その他には炎症や感染によるものなどがあります。動脈硬化性の動脈瘤は、高血圧、高脂血症、喫煙が危険因子と言えます。特に喫煙は破裂にも関連するため、禁煙が重要です。
 

3.症状

通常は無症状で徐々に拡大していきます。痩せている方だと、腹部に拍動するこぶを触れることがあります。腹部大動脈瘤は他の病気で腹部の超音波検査やCT検査を受けた時に偶然に発見されることがほとんどです。拡大し、破裂するときには、強い腹痛や腰痛が突然起こります。出血し、ショック状態になると意識を失うこともあります。
 

4.診療と治療の流れ

大動脈瘤が破裂すると、70~80%で生命に関わると言われています。そのため、治療は無症状でも主に破裂死を予防するために行います。

腹部大動脈瘤は、5cm未満では破裂する可能性は少なく、外科で超音波やCTなどで数ヶ月~1年に1回経過を見ていきます。5cm程度になると年間約5%の破裂する可能性がでてくるため、手術の適応となります。薬物などの内科的な治療は現在のところ確立されていません。

手術は開腹人工血管置換術とカテーテルによるステントグラフト内挿術の2通りがあります。

開腹人工血管置換術

腹部を、臍を中心に上から下まで約20cm前後切開します。動脈瘤の前後で動脈を遮断して、動脈瘤を切開して人工血管に置換します。
全身麻酔、開腹、大動脈の遮断、出血量などステントグラフト内挿術に比べると手術の体に対する負担がやや大きいことがデメリットです。しかし、手術の歴史は長く、一度手術をすると再手術の危険性はほとんどなく安定した長期成績が得られています。
人工血管置換術

ステントグラフト内挿術

両鼠径部(足の付根)を数cm切開して、大腿動脈を露出します。そこからステントグラフトという、金属の骨格(ステント)が取り付けてある人工血管を動脈瘤の前後にまたがるように留置します。
そうすることで、血流がステントグラフト内を通るので、動脈瘤に圧力がかからなくなり、破裂を予防します。(動脈瘤は血栓で固まり、なくなりません)手術の身体への負担が少ないことがメリットです。

デメリットとしては、その形状によりすべての動脈瘤に対して手術ができるわけではないことや、術後も何らかの原因で動脈瘤内に血流が流入すること(エンドリーク)により動脈瘤が拡大してくる可能性があることがあります。
エンドリークには、いろいろな原因があり、ステントグラフトがずれてきて動脈との隙間が生じて起こるものや、動脈瘤から出ていた動脈の枝からの逆流によるものなどがあります。
動脈瘤が再度拡大することもあるため、長期的に経過観察が必要で、状況によって再治療を要することがあります。
ステントグラフト内挿術

私どもは、開腹手術、ステントグラフト内挿術ともに国内トップレベルの豊富な治療経験があります。
治療方法は、それぞれ手術法のメリット・デメリットを考慮して、動脈瘤の形状、患者さんの年齢、心疾患、閉塞性肺疾患や脳血管疾患などの手術リスクなどによって総合的に決定します。 

 

閉塞性動脈硬化症

歩くと脚が痛い、足が冷たくて痛い、足の傷が治らない、壊死などの症状があります
 

1.閉塞性動脈硬化症とは

閉塞性動脈硬化症とは、動脈硬化により動脈が狭窄したり閉塞したりする疾患で、下肢への血流が不足し、症状を起こします。
症状は軽い方から、
  1. 無症状、しびれ感、冷感
  2. 歩くと下肢が痛み、やすみながらではないと歩けない(間歇性跛行)
  3. 安静にしていても足が痛む(安静時疼痛)
  4. 足にできたきずが治りにくい、治らない(潰瘍・壊疽)
の4段階に分類されます。3段階以上は重症で、下肢を切断しなければならない場合もあります。

 

2.原因

喫煙、糖尿病、脂質異常症、高血圧症、慢性腎不全などが挙げられます。
 

3.診療の流れ

診察で問診や脈の触れ具合などを確認します。

診察で閉塞性動脈硬化症が疑われる場合には、最初に足関節―上腕血圧比(ABI)検査を行います。
ABIはその名の通り、足関節と上腕の血圧の比を測定します。足関節と上腕の血圧の比が低値であれば、閉塞性動脈硬化症と診断します。
次に、造影CTや血管エコー検査を行い、狭窄・閉塞部位を確認して、適切な治療方法を検討します。閉塞性動脈硬化症の患者さんは、他の動脈硬化性の疾患を持っていることが多いため、糖尿病などの危険因子の検索や心臓や頚動脈などの他の血管病変の検索などを行います。
 

4.治療方法

  1. 禁煙:禁煙で症状が改善することがあります。
  2. 薬物療法:外科での基本の治療です。いろいろな作用の内服薬を症状に合わせて処方します。
  3. 運動療法:閉塞性動脈硬化症では、血流不足により歩行時にふくらはぎなどが痛くなるので歩行に支障を来します。しかし、毎日無理のない距離を歩くことで血液の流れが改善し、歩行距離が延長します。当院では、通院が可能な方に対してリハビリ科と連携して運動療法を行っています。
  4. 血管内治療:カテーテルやステントで血管を拡張します。
  5. 手術療法:人工血管や自己静脈でバイパスを行います。

それぞれの治療法にはメリットやデメリットを有しています。当科では専門科として閉塞性動脈硬化症の病状や病変部位、患者さんの全身状態に応じて適切な治療方法を選択します。
最終的には患者さんのご希望に沿って治療を行います。安静時疼痛や潰瘍・壊疽の重症の患者さんは、このような状態を放置すると多くの方が脚を失うことになります。このような患者さんには早めに入院してもらい、集中的に治療を行います。
カテーテルやバイパスによる血行再建と同時に創の処置を行い、何とか脚を失わないように最大限に努力します。
不幸にして脚を救いきれずに切断された患者さんに対してもリハビリテーション科の専門の医師と連携し義肢や補助具によりなるべくもとに近い生活を送ってもらう努力をしています。

 

下肢静脈瘤

脚にボコボコしたコブがあり、むくんだり、重苦しい、つるなどの症状があります
 

1.下肢静脈瘤とは

下肢静脈瘤とは足の血管がふくれてこぶの様になる病気です。
下肢の静脈には血液の逆流を防ぐ静脈弁があり、下肢に来た血液は、静脈を通って逆流することなく心臓に戻っていきます。下肢静脈瘤は、何らかの原因でその静脈弁が壊れて血液が逆流し、下肢に血液がうっ滞貯留するためおこります。症状は血流のうっ滞によって、下肢のだるさ、こむら返りなどが生じます。
 

2.原因

なりやすい要因として、加齢、遺伝、妊娠・出産、立ち仕事などが挙げられます。
 

3.症状

下肢のむくみ、ふくらはぎの重苦しさ、明け方の下肢のつり(こむら返り)、かゆみ・色素沈着、潰瘍、瘤の痛みなどが起こります。
 

4.診療と治療の流れ

問診や診察にて静脈瘤と考えられた場合には、超音波検査にて逆流している血管や静脈瘤の種類を診断します。

静脈瘤は、ほとんどの場合生命に関わることがないため、症状の強い方に対して治療を行います。治療方法には、弾性ストッキングによる圧迫療法、薬剤を動脈瘤内に注入しかためる硬化療法、手術療法があります。
手術療法には、カテーテルによる血管内焼灼術(レーザー治療)と静脈を引き抜くストリッピング術があります。
それぞれの治療法には利点と欠点があるため、逆流している血管や静脈瘤の種類、年齢、生活スタイルなどによって適切な治療法を選択します。
当院では血管内焼灼術は行っていないため、血管内焼灼術が適切と判断される場合には、他の適切な病院にご紹介いたします。

 

下肢急性動脈閉塞

急に脚が冷たくなり、痛みや麻痺が起こります
 

1.下肢急性動脈閉塞とは

下肢急性動脈閉塞とは、急激に下肢の動脈が閉塞して症状を起こす疾患です。
症状としては突然に下肢が痛み、冷たく、感覚が鈍くなり、麻痺して動かなくなります。時間が経つと下肢が壊死に陥り、救命のために下肢切断が必要になることがあります。緊急を要する疾患です。
下肢急性動脈閉塞
 

2.原因

原因の多くは心房細動という不整脈で、心臓にできた血栓(血の塊)が下肢の血管に飛んできて血管をふさいでしまうために起こります。
このほか、動脈硬化で血管の狭窄が強い方や他の病気に伴って起こることもあります。
 

3.診療と治療の流れ

発症から時間が経過すると下肢が壊死に陥るため、下肢を救うことが困難であったり、状態によっては生命に関わることがあります。
そのため、緊急で血流を再開する治療が必要です。主に手術で血栓を除去して血流を再開します。重症である場合には下肢切断になることがあります。
再発予防のために、急性動脈閉塞となった原因の治療も必要です。

 

バスキュラーアクセス

血液透析療法を行うために必要な手術です。

腎臓の機能が低下し、血液透析療法が必要になった方に必要な手術です。
血液透析療法では血管に針を刺し、血液を機械の回路に通して水分や老廃物を除去します。

そのためには、血流量が多く安全に刺せる血管が必要です。
手術で動脈と静脈を吻合し、動脈の流れを一部静脈に流すことで、静脈を発達させ、血液透析療法が可能になります。

通常は手首の近く、または肘の動脈と静脈を吻合します。
手術部位は血管の太さや性状、走行などを超音波検査を用いて診察したうえで最適な場所で行います。
十分な血管がない場合は人工血管を用いた手術を行います。

局所麻酔で約1時間ほどの手術です。

東北大学病院では血管外科と移植肝臓外科が連携して手術を行っております。

 

その他の疾患

血管に関するあらゆる疾患を診療しています。お困りのことがあればご相談ください

当科は腹部大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症などの代表的疾患以外に、胸部・頭頚部以外のあらゆる血管疾患を診療しています。
 
  • 深部静脈血栓症
  • 内臓動脈瘤(脾動脈瘤、上腸間膜動脈瘤など)
  • 内臓動脈解離(腹腔動脈解離、上腸間膜動脈解離など)
  • 上肢・下肢動脈瘤(上腕動脈瘤、大腿動脈瘤、膝窩動脈瘤など)
  • 血管外傷
  • その他の静脈疾患(バッド・キアリ症候群など)
  • リンパ浮腫
など、お困りのことがあればご相談ください。  

 

診療実績

東北大学病院 血管外科単独での手術件数です。関連病院の手術件数は含まれておりません。血管外科単独での手術件数
 

特徴1 多種多様な腹部大動脈瘤手術

開腹手術、ステントグラフト内挿術ともに、質の高い医療を提供しています。
通常の動脈瘤以外にも、炎症性大動脈瘤、感染性大動脈瘤や大動脈瘤術後の合併症など、難易度の高い動脈瘤も多く紹介いただき治療しています。
 

特徴2 下肢閉塞性動脈硬化症治療

下肢閉塞性動脈硬化症の手術はバイパス手術と血管内治療があり、症状や血管の性状に合わせてより良い治療を選択しています。両方の治療を行う血管外科チームだからこそ可能な質の高い治療を提供しています。
 

特徴3 他科の手術応援

東北大学病院では一般病院では手術が難しい方も紹介いただきます。
その中で、主要な血管を巻き込んだり、接したりし、専門的な剥離が必要な方には当科が血管周囲の剥離や郭清、血行再建の応援に入ることがあります。
実際に手術に入った方以外にも、手術前に多くの相談を受けています。
病院全体として、互いに協力し、よりよい手術を提供しようと努力しています。